角膜移植と見えるということ

自治医科大学眼科学講座 准教授 小幡博人

角膜は眼球の最も外側に位置し、水晶体と共に光を屈折させる透明な組織です。良好な視力のために、角膜は“ 透明であること ” と “ 形状が均一であること ”  が大切です。角膜内皮細胞の機能不全や角膜の炎症などで角膜の透明性が失われ混濁したり、円錐角膜などで形状が不整になると、視力が低下します。視力向上のため、健康な角膜が必要な場合、ドナー角膜を用いて角膜移植を行います。角膜移植とは、くもりガラスを透明なガラスに交換すると外の景色がよく見えるようになることを想像すると良いでしょう。白内障がある場合は同時に手術を行うこともあります(図1)。

自治医大では、移植・再生医療センターが毎年1回、“ 栃木県の臓器移植を考える会 ” を県民の皆様のために開催しています。私も何度か講演をさせて頂いておりますが、講演の参考として、移植をうけた何人かの方に感想を伺ったことがあります。ここに80歳代の女性の方のお言葉を紹介します。

「見えない時は死んだ方がいいと思うほど失望しました。でも移植をしてくれたおかげで、私は生き返ったように嬉しく思っています。また、提供してくれた方にもありがたいと思っています。本当に命の恩人のように嬉しいです。」

移植医療はドナーの方の臓器提供があって初めて成立します。角膜移植は、我々眼科医にとって、あらゆる手術の中でも最も背筋が伸びる手術です。

(図1)角膜移植と白内障の同時手術

手術前                                      手術後

 

 

 

 

 

 

 

 

(公財)栃木県アイバンク光とアイ11号より