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角膜移植の現状

獨協医科大学眼科学教室 教授  妹尾 正
近年の眼科手術のなかで角膜移植術は目覚しい発展を遂げ、さらなる高みへと発展しつつあります。多くの可能性と発展をパーツ移植という考えに基づき細分化された種々の術式へと枝分かれしてきているのが現状です。角膜は直径10mm厚さ0.5mm足らずの組織ですが、地層のように5枚の層からなり3種類の細胞(内皮細胞、実質細胞、上皮細胞)から成り立っています。従来角膜移植は角膜全部を取り換えろ全層角膜移植のことを指しましたが、現在では全層角膜移植は角膜移植の中の一手技となり、パーツごとに角膜上皮、実質、内皮に対する移植術が行われるようになり、更にそれぞれの手技が発展しその成果が報告されております。こうすることにより一人のドナーからいただいた大切な角膜から必要とする部位だけを移植することで、合併症の軽減や、一つの角膜から複数の患者様に移植する手術が可能になってきております。
また、エキシマレーザーやフェムト秒レーザーといった新たな先進医療機器の導入や、培養細胞移植などの先端技術も加わり患者様のニーズに応え得る新たな局面を迎えています。ただ、私が皆様や特に医療関係者に伝えたいことは、これらの発展はドナー角膜があってこその成果であるということです。いくら紙の上で理想の治療や手術を想像してみても結果が出せなければ意味がありません。勿論、よい結果のみではありませんし、患者様の手術に対する期待や、ドナーの方やご親族を含めた方々の眼球提供に至る熱い気持ちが、重く我々の心にのしかかってきます。そうした気持ちこそが医療の発展につながっているのではないかと思っております。おかげさまで栃木県は全国屈指のドナー角膜供給県です。当院で多くの患者様の開眼手術を行える現状に日々感謝をしております。
栃木県アイバンクに携わるライオンズクラブの方々や、県内のドナー登録をされた方々の熱い思いに、心から感謝いたしております。日夜努力を重ねていく所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

栃木県アイバンク「光とアイ」11号より