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那須の雪崩事故で献眼してくださった髙瀬淳生さんのことで、テレビや新聞の取材が栃木県アイバンクにもたくさんありました。そしてその報道を受け献眼登録の問い合わせも多く、あらためてメディアの力の大きさを知り、髙瀬さんの献眼が多くの人に感動を与えたのだと実感しました。

先日は14歳の中学生から、また、髙瀬さんと同じ山岳部の先輩からの登録もありました。その中で、角膜移植をして眼が見えるようになった女性の方から髙瀬淳生さんのお母さんに手紙を渡してくださいとアイバンクに手紙が届きました。お二人の了承を得ておりますので、ご紹介いたします。

前略 見ず知らずの他人からの突然の手紙は失礼なことと思いながらも、4月3日の朝日新聞の記事にふれどうしてもお手紙をさしあげたいと思いました。失礼をお許し下さい。

もし、山の神様がいらっしゃるなら掴み掛りたいような衝動にかられながら、将来ある頼もしい子供達のことを悼み、ご家族のお気持ちをただただ察するばかりです。

私は、9年前に角膜移植手術を受け、角膜の提供をいただいたレシピエントです。鉗子分娩により右眼に傷を負い11年前に水疱性角膜症を発症しました。発症から移植までの2年間は磨りガラスのような視界が不便なのは勿論ですが、水ぶくれになった角膜がちょっとした刺激によってめくれることの痛みが耐え難く、蛍光灯の光でも刺さるように痛むため家の中でもサングラスをつけて過ごしていました。

移植手術は、部分麻酔で受けたのでその時のことは今でもありありと思い出します。傷ついた右眼の角膜が切りとられ、いただいた角膜がおかれた瞬間は、やさしい光がさしこんで本当に荘厳な体が温かくなるような瞬間でした。

ドナーの方とご家族のお陰で手術をして頂くことができ、ずっと下ばかり向いて過ごしてきた私が、翌年の春に桜の木を見上げた時の喜びと桜の美しさは忘れることはありません。

その時、私は温かいものに包まれたように感じました。名前も知らない・・・けれど一番近くにいてくれるぬくもりです。私が頂いたのは角膜だけではないことを実感しました。ドナーの方そしてご家族にはありがとうという言葉では言いあらわせない深い感謝の気持ちでいっぱいです。私はいただいたやさしさを大切に誰かにお裾分けできるような生き方をしていこうと思っています。

淳生さんのお母さん、どうぞ、くれぐれもお体を大切になさってください。気持ちばかりが先走りこんな手紙でごめんなさい。

角膜移植を受けた方の、受けた方しかわからない痛みや感情、そしてぬくもり。実体験が聞けて本当に感動し涙してしまいました。お手紙ありがとうございました。髙瀬さんのお母さんに確かにお渡しいたしました。やはりこのように光が受け継がれ人生も救われている方がたくさんいるのですね。

4月23日の下野新聞の論説に記事を載せていただきました。

こちらも角膜移植により眼が見えるようになった上原

さんの記事です。

 

 

 

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